
総合大学として、「学問による人間形成」と「協創」を理念に学生を育成する城西大学。リベラルアーツのカリキュラムや地域との連携プログラムといった教育内容の充実に加え、キャンパスの環境づくりにも力を入れています。後編では坂本武史学長に、居心地のよい空間づくりによって実現する「共感が循環する大学」についてお聞きしました。
目次
- 居心地の良さと安心、安全から生まれる新たな価値
- 「学びの拠点」として生まれ変わった図書館
- 図書館での対面交流でコミュニケーションを活性化
- 「共感性」という内面を高め、共感が循環する大学へ
- まとめ――教育理念の実現で大きな役割を果たすキャンパス空間
居心地の良さと安心、安全から生まれる新たな価値
――城西大学では学生の力を高めるために、どのような施設づくりをしていますか。
坂本学長:教育には「余白」が必要だと考えています。私は薬学の研究者なのですが、薬を開発するには膨大な数の実験をしなければなりません。うまくいくことなんて、100回に1回もありません。「真実は何か?」を問いかけていくなかで、自分の頭で考えたことが間違っていることに気づくことがほとんどです。

むしろ偶然の中で解にたどり着く場合が多い。例えば、あまり重要だと思っていなかった研究論文をふと手に取って、そこから何かが生まれることも多くあります。それが「余白」です。教育や研究で向き合っていることの周囲にある「余白」がとても重要であり、学びとはその余白をいかにつくっていくかでもあると思います。
――城西大学ではその余白をどのように実現していますか?
坂本学長:そのシンボルは「JOSAI HUB」と言えます。広さは3700平方メートル。仕切りのない開放的な空間に学習スペース、カフェ、ラウンジ、事務窓口などを配置してあります。学生、教員、職員、そして地域の方々が交流し、協創が生まれる拠点として整備されています。

余白を生むうえで、大切なのは居心地の良さです。ゆったりとした気持ちで過ごせて、誰かに会って、気軽に交流ができる空間。「あそこに行ったら誰かいるかな」って思える空間が大学にとってはとても大切なのです。理系と文系、学生、職員、教員。その誰もが過ごしたくなる居心地の良さと安心、安全があるから交流と対話、発想や学びが自然に生まれているのです。
「学びの拠点」として生まれ変わった図書館
――2025年には創立60周年事業として水田記念図書館の1階がリニューアルされました。
坂本学長:水田記念図書館も、学生が自然に集まり、交流できる場所づくりの象徴的な空間と言えます。図書館は単に本を借りるだけでなく、学生が自律的に学び、仲間と議論しながら学びを深める「学びの拠点」であることが大切です。
今回、リニューアルを行った図書館の1階は、集中して学習できるエリア、アクティブラーニングに適したスペース、カフェのようにくつろげるエリアなど、多様な学習環境を整備しました。空間づくりでは、清和ビジネス様のご提案とご協力により、温かみと機能性を兼ね備えた環境を実現できました。

ひとりで集中できますし、友だちと気軽に相談もできます。緊張と緩和があった方が学習の効率も上がります。他の学習スペースと異なり、本や資料も充実しているので、調べ物にも時間がかかりません。館内には学生アドバイザーのデスクもありますので、学習支援やイベントなどを通して、学部や学年を超えた交流も生まれています。
図書館での対面交流でコミュニケーションを活性化
――学生たちが居心地よく過ごすために、どんな工夫をされているのですか?
坂本学長:まず、飲食も可能です。みんなで意見を出し合う場所だから、軽食やドリンクを片手に話し合うこともできるようにしました。図書館に交流という新たな役割を付加することができました。
会話にしても、飲食にしても限度はありますが、それは学生自身が考えることです。公共施設なので、どなたでも利用ができます。自分の行動で誰かが不快になっていないか。人として責任を持って行動するにはどうすればよいか。新たな図書館は押し付けられずにマナーを学べる場所でもあると思います。


今、SNS全盛の時代だからこそ、人と直接交流する場が大切だと思います。スマホ越しで行うSNSでの交流と、対面で相手がそこにいて、目を見て話すのとは質が異なると思います。相手の気持ちをしっかり理解して、自分の気持ちも相手に伝える。対面でこそできることだと思います。
図書館は地域連携の重要な拠点でもあります。本学の図書館はどなたでも利用できますし、図書が借りられる会員制度も設けています。また、近隣の公共図書館とも相互協力提携をし、サービスの向上を目指しています。図書館の利用を通じて、地域の皆さんが大学を知り、学生たちが地域の皆さんと交流する機会も生まれています。
地域の世代の離れた人と対面で話して、新しい気づきや価値が生まれる。そんな空間になれば、図書館は本当に素晴らしい機能を持つことになると思います。
「共感性」という内面を高め、共感が循環する大学へ
――「学問による人間形成」から「協創力」へと進展してきた城西大学の学びはどのように進化していくのでしょうか?
坂本学長:さまざまな人々と関係をつくり、協力し合って新しい価値を生み出すためには、「共感性」を養う必要があると思います。他者を理解し、ぶつかり合いながらも何かを成し遂げるには相手へ共感する力が大切なのです。
別の言い方をすれば、自分の内面を振り返る力とも言えるでしょう。行動することで協創が生まれ、精神的な内面を高めることで共感を養うことができます。
私は、城西大学を「共感が循環する大学」にしていきたい。そのためには、学生や教職員、地域の人々が気軽に訪れられる居心地のよい場所が必要です。「あそこにいれば誰かいるよね」という場所がキャンパス内にいくつもある。自然に交流が生まれ、アクションが起こり、共感が循環する。
こういった学びの環境を整えていくことを今後も大切にしていきたいと思います。

まとめ
――教育理念の実現で大きな役割を果たすキャンパス空間
インタビューの中で坂本学長は「建学の理念ほど大切なものはありません」と強調されていました。大学を誕生させた建学の理念を真摯に貫きながらも、時代に合った言葉で表現し、具体的な教育プログラムに落とし込んで学生の力を育む。その実現において、キャンパスという空間が大きな役割を果たしていることを城西大学の取り組みは教えてくれました。
〈インタビュー・撮影協力〉
城西大学
所在地:埼玉県坂戸市けやき台1-1
公式HP:https://www.josai.ac.jp
▽お気軽にまずはご相談ください!

▽学校・キャンパスの事例集を無料配布中です!
