
2026年4月、明治大学の新たな系列校「明治大学付属世田谷中学校・高等学校」が誕生します。母体となるのは140年の歴史を持つ「日本学園中学校・高等学校」。“人は得意な道で成長すればよい”という教育方針のもと、一貫して人間力の形成に努め、数多くの偉人・著名人を輩出してきた伝統校です。
本記事では同校の独自の教育「創発学」と「明大世田谷」への進化に向けた取り組みについてご紹介します。
目次
- 偉人や著名人を輩出してきた自由な校風
- 生徒自らが気づき、試行錯誤しながら人間力を育む創発学
- 創立140年の伝統校と明治大学のコラボレーションが実現
- 新たな校舎づくりでスケールアップと教育の進化を目指す
- 次回へと続く――「明大世田谷」誕生を機に生まれる創発学のソフト・ハードの進化とは?
偉人や著名人を輩出してきた自由な校風
京王線・京王井の頭線の明大前駅から閑静な住宅街を5分ほど歩くと、緑豊かな巨樹に包まれた日本学園中学校・高等学校(以下、日本学園)の校舎が現れます。1885年に「東京英語学校」として創立され、日本中学と改称した後、1936年に現在の東京都世田谷区松原に移転しました。

1885年といえば明治18年であり、日本の内閣制度が創設された年。明治維新を経て、日本が新たな国のあり方を模索していた最中に設立された同校の創立者・杉浦重剛先生は社会に貢献する人を育てることを目指すうえで、「人は得意な道で成長すればよい」という教育方針を掲げました。
生徒一人ひとりの個性を大切にし、その得意を伸ばし、見守る自由な校風はさまざまな分野で功績を残す偉人や著名人を輩出してきました。ほんの一部ですが、同校で学んだ人物として下記の方々が名を連ねています。
- 横山大観(画家)
- 永井荷風(作家)
- 𠮷田茂(内閣総理大臣)
- 岩波茂雄(岩波書店創業者)
- 今井兼次(建築家・早稲田大学名誉教授・日本芸術院会員・日本芸術院賞受賞)
- 丸山千里(医学博士・丸山ワクチン開発者・日本医科大学学長)
- 小平浪平(日立製作所創業者)
また近年も、高田文夫(放送作家)や斉藤工(俳優)といった個性あふれるクリエイターを輩出していることからも、日本学園の「得意を見つけ、得意を伸ばす」校風が伺えます。
生徒自らが気づき、試行錯誤しながら人間力を育む創発学
この建学理念を教育のカリキュラムとして結実させたのが日本学園独自の「創発学」です。創発学の三文字には、創造、発見、発信、基礎学力の応用、情報活用能力といった教育目標が込められています。
起点となるのは「体験」です。生徒たちは中学1年生で林業体験と漁業体験、中学2年生で東日本大震災の被災地である東北地方での体験学習を行います。ほとんどの生徒は都内で生まれ育った都会の子どもたち。山間部や漁村の現場に行くことで五感を通じて、都心とは異なる環境があることを実感します。
しかし、単なる体験で終わらせないのが創発学の重要なポイントです。
現場を訪れた生徒たちには、現地の課題解決を提案する新聞を制作するミッションが与えられています。体験から気づきを得て、課題を発見し、情報を収集し、学校で学んだ科目の知識等を駆使して分析を行います。
取材から記事制作の過程では、何度も壁が立ちはだかり、試行錯誤が生まれますが、あきらめず仲間と助け合いながら取材を続けることで、自分たちの仮説にたどりつくことができるのです。そのプロセスを繰り返すことで、その場限りの「体験」が、一生ものの「経験」へと結実していきます。
こういった一連の学習プログラムは、2003年に試験的にスタートし、2007年に創発学と名付けられました。以来、約20年にわたり試行錯誤とブラッシュアップを重ね、今日の手法を確立してきました。
「探究学習」や「アクティブラーニング」といった生徒主体の学習メソッドに注目が集まるはるか前から、日本学園では生徒たちに体験の場数を踏ませて、自ら主体的に考え、行動し、協力し合う学びに取り組んできたのです。

創立140年の伝統校と明治大学のコラボレーションが実現
2012年、日本学園は明治大学と地域教育連携を開始しました。
徒歩10分の距離にある和泉キャンパスをはじめ、各キャンパスへのアクセスの良さを活かし、出張講義や和泉図書館見学会、メディアセンター講義、登戸研究所での平和教育など、明治大学との交流が続いてきました。
加えて、2022年4月には高大連携の協定書が交わされ、2026年4月に「明治大学付属世田谷中学校・高等学校(以下、明大世田谷)」へと改称するとともに、共学化することになりました。
新たな校舎づくりでスケールアップと教育の進化を目指す
日本学園は従来、中高合わせて生徒数500人規模でしたが、明大世田谷になることで生徒数の規模は1200人近くまで増えることが見込まれています。そこで、新たな5号館を建設するとともに、1936年の移転時に建てられ、国の登録有形文化財にも指定されている1号館の改修工事も行われることになりました。

体験を起点に気づきを大切にして、課題を発見し、試行錯誤しながら仮説を見出す創発学。明大世田谷への進化に向けた校舎のリノベーションプロジェクトでも、まさに創発学の精神に則って、さまざまな挑戦が行われていくことになります。
次回へと続く――「明大世田谷」誕生を機に生まれる創発学のソフト・ハードの進化とは?
次回から始まる前編・後編では、谷口哲郎校長へのインタビューを通じて、創発学のもたらす教育効果の実例と今後の進化のかたち、そして校舎のリノベーションに盛り込まれた共に学ぶ学習空間の新しいかたちを探っていきます。
〈インタビュー・撮影協力〉
明治大学付属世田谷中学校・高等学校(現 日本学園中学校・高等学校 2026年4月校名変更予定)
所在地:東京都世田谷区松原2-7-34
公式HP:明治大学付属世田谷中学校・高等学校
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